
「夜中に熱が出た。でも、救急車を呼ぶほどだろうか」
「本人は大丈夫だと言っている。でも、いつもと違う気がする」
訪問させていただいているお宅から、ご家族にいちばん多くいただくご相談が、これです。日中であればかかりつけの先生に電話ができます。けれど夜は、判断する人がご家族しかいません。
先に結論をお伝えします。迷ったときは、呼んでいいのです。そして、迷ったときに相談できる窓口が、24時間あいています。
この症状は、朝まで待たないでください
消防庁は「ためらわず救急車を呼んでほしい症状」を公表しています。高齢の方について挙げられているもののうち、ご家庭で見てわかるものを整理しました。
- 顔……笑うと口や顔の片方がゆがむ/ろれつがまわりにくい/顔半分がしびれる
- 手足……突然のしびれ/突然、片方の腕や足に力が入らなくなる
- 頭……突然の激しい頭痛/突然の高熱/急にふらつき、立っていられない
- 胸や背中……突然の激痛/急な息切れ、呼吸困難
- おなか……突然の激しい腹痛/血を吐く
- 意識……返事がない、もうろうとしている
- その他……けいれんが止まらない/のどに物をつまらせた/大量の出血をともなうけが/広範囲のやけど
このリストの最後には、こう書かれています。「その他、いつもと違う場合、様子がおかしい場合」。つまり、症状の名前がつかなくても呼んでいい、ということです。
「本人は大丈夫と言っている」を、判断材料にしない
同じ資料に、私たちが何よりお伝えしたい一文があります。
「高齢者は自覚症状が出にくい場合もありますので注意しましょう」
年齢を重ねると、痛みや息苦しさの感じ方が変わることがあります。ご本人が「なんともない」とおっしゃっていても、それは軽いという意味とはかぎりません。
訪問していると、こう感じる場面があります。ご家族の「なんだかいつもと違う」という感覚は、かなりの確率で当たっている、ということです。毎日その方を見ている人にしかわからない変化があります。ご本人の言葉より、そばにいる方の違和感を優先していただきたいのは、そのためです。

迷ったら、ここに電話してください
「119番かどうか」を、ご家族だけで決める必要はありません。神奈川県には、そのための窓口があります。
かながわ救急相談センター #7119
(つながらない電話からは 045-232-7119 または 045-523-7119)
- 24時間365日、年中無休で受け付けています
- 看護師が症状をうかがい、緊急性があるか、すぐ受診したほうがよいかを判断してくれます
- 受診できる医療機関の案内もしてもらえます
- 相談は無料です(通話料はかかります)
もともと横浜市が行っていた窓口が、2024年11月から神奈川県全域に広がりました。県内にお住まいであれば、どこからでも使えます。
このほか、消防庁の無料アプリ「Q助」は、画面で症状を選んでいくと緊急度の目安を教えてくれます。横浜市には「横浜市救急受診ガイド」というウェブ版もあります。お子さんの場合は#8000(子ども医療電話相談)が別にあります。
訪問看護を使っている方へ ── 夜に電話していいのは、どんな人?
訪問看護を利用していても、夜に電話できる人と、できない人がいます。分かれ目は、契約のときに「緊急時の対応」をつけているかどうかです。
制度の名前でいうと、介護保険なら「緊急時訪問看護加算」、医療保険なら「24時間対応体制加算」といいます。名前は難しいのですが、意味はひとつです。この説明を受けて同意されている方は、夜中でも休日でも、ステーションに電話していいということです。
ご自宅での確かめ方は、3つあります。
- 契約書やご利用票に「緊急時訪問看護加算」「24時間対応体制加算」と書かれていないか見る
- ステーションから渡された緊急連絡先の紙が、家のどこかにないか探す
- いちばん確実なのは、次の訪問のときに「うちは夜、電話していいことになっていますか」と聞いてしまうこと
えがおは24時間365日の体制をとっています。ただし対応できる範囲は、ご契約の内容によって変わります。夜中に探すことになる紙は、昼のうちに見つけておく。この確認だけは、お元気なうちにお願いします。
今日できる準備は、紙1枚です
救急車を呼んだあと、救急隊から必ず聞かれることがあります。持病、かかりつけの病院、飲んでいる薬。夜中に慌てて探すのは、とても大変です。
消防庁も「日頃からメモにまとめておくと便利です」と案内しています。私たちも、訪問先でこの紙を一緒に作ることがあります。
- 持病と、これまでの大きな病気・手術
- かかりつけの病院・クリニックの名前と電話番号
- 飲んでいるお薬(おくすり手帳をそのまま添えるのがいちばん確実です)
- ご家族の連絡先
これを玄関か、電話のそばに貼っておく。それだけで、いざというときの数分が変わります。
あわせて、救急車を呼んだら手元にまとめておくと安心なものも挙げられています。保険証・診察券・マイナンバーカード、おくすり手帳、お金、そして靴。付き添う方の靴は、意外と忘れがちです。
ひとりで背負わなくて大丈夫です
救急車で運ばれた方の約半数は、入院を必要としない軽症だったという統計があります。この数字は「呼ばないで」という意味ではありません。それだけ多くの方が、判断に迷っているということです。
迷う夜は、これからもあると思います。そのときは、#7119があります。かかりつけの先生がいます。そして訪問看護も、その相談先のひとつです。
「呼ぶか、待つか」を、ご家族おひとりで決めなくていい。それだけ覚えて帰っていただけたら、この記事の役目は果たせたと思います。
※症状のリスト、「高齢者は自覚症状が出にくい場合もあります」の記載、救急車で搬送された方の約半数が軽症であること、持ち物の案内は、総務省消防庁「救急車を上手に使いましょう ~救急車 必要なのはどんなとき?~」(令和7年10月発行)に基づいています。
※かながわ救急相談センター(#7119)の内容は神奈川県の公表情報、横浜市救急受診ガイドは横浜市の公表情報に基づいています(2026年8月時点)。
※「緊急時訪問看護加算」(介護保険)・「24時間対応体制加算」(医療保険)は、ご利用者さまの同意を得たうえで算定される制度上の加算です。
※本記事は一般的な情報をお伝えするものです。個別の判断については、かかりつけ医にご相談ください。